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外務専門職をめざして

国際法・憲法判例、要旨まとめ、経済学等試験勉強のため。国際関係学、ロシア等に関する個人的意見。助言、訂正お願いします。

衡平の法源性

問題提起

国際法の法源には形式的法源実質的法源の二種類があるが、衡平の原則は条約、慣習国際法ともに形式的法源と呼べるか。または、実質的法源として機能しているか。また衡平の原則にはどのような種類があるといわれているか。

 

理由

第一に、衡平とは国際法上定義できない部分を、現実的、実質的観点からアプローチする原則であるため、形式的法源ではない。現実的、実質的側面とは平等公正合理性などが当てはまる。

第二に、衡平は国際判例でも提示された例のある実質的法源であるといえる。

第三に、衡平の原則には、実定法の解釈運用や、国際裁判の判定理由としてしばしとりあげられる補足的手段としての法の下の衡平(intra legem 又はinfra legem)、国際法上、規定されていない具体的な事情をより考慮するための手段としての法を補充する衡平、そして国際法の規定では、良くない結果がもたらされる可能性のある場合に、当事者の合意により「衡平と善」のより国際法とは離れて用いられる法に反する衡平(ex aequo et bono又はcontra legem)がある。ただし、国際法から離れてしまう法に反する衡平の原則を用いた裁判は今まで行われた例はない。

 

判例

(法の下の衡平)

ブルキナファソ=マリ国境画定事件-国際司法裁判所判決・1986年12月22日(百選6事件)

(判旨)

3. The role of equity (paras. 27-28)

The Chamber then considers whether it is possible, in this case, to invoke equity, concerning which the two Parties have advanced conflicting views. Obviously the Chamber cannot decide ex aequo et bono, since the Parties have not requested it to do so. It will, however, have regard to equity infra legem, that is, that form of equity which constitutes a method of interpretation of the law in force, and which is based on law. 

(訳)3.衡平の役割(27-28項)

議会は次に、この場合において、両当事者が高度に対立した意見を持っていることに関連して、衡平の原則の訴えることが可能であるかどうかについて審議する。明らかに、議会は両当事者の合意を得ずして、ex aequo et bono(衡平と善)により決定することはできない。しかしながら、infra legem(法の下の衡平)を配慮する、つまり法に基づく衡平、有効な法の解釈となる衡平の原則を配慮することはできる。

 

(法を補充する衡平)

北海大陸棚事件-国際司法裁判所判決・1969年2月20日(百選1事件)

(判旨)

大陸棚条約第6条で規定された等距離原則は慣習国際法化しているとは言えない。大陸棚の境界画定は当事国間の合意によってなされなければならず、その合意は衡平原則に基づかなければならない。各国はこの衡平原則に基づき、それぞれの国に領土の自然の延長となる大陸棚部分ができるだけ多く割り当てられる方法で合意すべきであり、大陸棚はその国の領土の自然の延長でなければならず、他国領土の自然の延長を成す他国の大陸棚に侵入してはならない。そのため当事国は合意に達する目的で交渉を行い、その交渉を有意義なものとするよう行動する義務を負う。

 

考察

衡平の原則は、平等、公正、合理性などを補充する現実性、実質面に即したその性質上、形式的法源性はもたず、実質的法源性を有するものとして扱われる。国際判例上、法の下の衡平(intra legem 又はinfra legem)や法を補充する衡平は存在しているが、「衡平と善」に基づく、法に反する衡平(ex aequo et bono又はcontra legem)は依然、判例上確立してはいない。